「舞台『刀剣乱舞』禺伝 矛盾源氏物語」の千秋楽配信を視聴しました概要と感想です。
ネタバレ等ありますのでご注意ください。
あくまで個人の感想であり、辛口コメントなどがある場合もありますがご了承ください。
▼2023年3月11日(土)~2023年4月14日(金) 23:59まで配信中!
刀ステ禺伝 概要
禺伝では「本編(源氏物語)」「行間(現実世界・刀剣男士がいる世界)」を行ったり来たりしながらお話が進んでいきます。
本記事では概要だけをまとめました。
大まかな流れですのでニュアンスや言い回しなどは異なる場合があります。
平安の都に出陣した歌仙兼定、大倶利伽羅、一文字則宗、山鳥毛、姫鶴一文字、南泉一文字は、紫式部が描いた物語「源氏物語」の世界が現実世界に浸食していることを知る。
そこで出会った小少将の君は紫式部の友人であり、「源氏物語」の中では桐壺帝の第一の妻・弘徽殿の女御として生きている。
物語が現実になりつつあることを自覚していた小少将の君は、紫式部から預かった「源氏物語」の原書の一部を刀剣男士に託し、「物語を破綻させてほしい」という紫式部の願いを話す。
こうして刀剣男士たちは、現実世界が「源氏物語」に完全に覆われる前に、「源氏物語」の内容を矛盾させる(破綻させる)ために奔走することとなる。
「源氏物語」の主人公である光源氏を殺せばいい、と考えた大倶利伽羅は彼に刀を向けるが、どうしても倒すことができない。
現実世界で多くに人に読まれ愛されている「源氏物語」の強い力により、光源氏は守られているのだった。
一文字則宗は、自分自身が架空の物語の強い力によって顕現していることもあり、強い物語の中にも弱みがあるのではないかと考える。
全54帖からなる「源氏物語」の欠落した一篇、第41帖「雲隠れ」…
何も書かれていない本文は光源氏の死を示唆しているといわれている。
「雲隠れ」は紫式部しか知らない物語であり、そこに光源氏を倒すヒントがあるのではないか?
「源氏物語」を実際にあった出来事として、歴史に加えようとしているのは誰なのか?
一方、一文字一家(一文字則宗、山鳥毛、姫鶴一文字、南泉一文字)はとある実験をしていた。
その実験とは、既存の刀に偽りの物語を付与し、観測するというものだった。
歌仙兼定には「細川ガラシャの刀であった」という偽りを、
大倶利伽羅には「徳川の刀であった」という偽りを付与していたのだった。
もちろん一文字一家もそれぞれ偽りの物語を被るのだった。
これら偽りの物語によって、三日月宗近に近づくことができるのか。
すべての物語は三日月宗近につながっているのか。
つまり、第二の三日月宗近を作ることは可能か?という実験である。
(*これまでの刀ステ作品を参照しないと分かりにくい部分です)
「源氏物語」の現実化は進み、紫式部は藤壺(光源氏の義理の母で彼が最も愛した人)として、彰子(紫式部が使えていた高貴な人)は六条御息所(光源氏の最初の恋人)として物語の中で生きていた。
あるとき、現実世界の紫式部のもとに男が訪ねてくる。
男は、こう言う。
源氏物語は架空の物語だから嘘であり、仏教の教えに反している。
嘘は地獄に落ちる。しかしあなたには地獄に落ちてほしくはない。
私はあなたの物語に救われたから。
この嘘(「源氏物語」)が現実であればいい。歴史にしてしまえばいい。
「源氏物語」のストーリーは進んでいく。
男は光源氏として物語を生き、「雲隠れ」で死んだあとに骨を土に残し、本当の歴史にしようとしていた。
のちの世の人が骨を発見することで「源氏物語」は現実にあったことだと思わせるために。
そうすれば紫式部は地獄に落ちなくて済むから。ただ彼女を救うために。
しかし、現実世界で紫式部は死んでしまった。
刀剣男士たちは、ここで「源氏物語」が現実世界を侵食していたのではなく、「源氏物語」と「源氏供養」の間を行き来していたことに気づく。
*「源氏供養」とは
仏教の教えに背いてまで「源氏物語」の登場人物に苦しみや死を与えた紫式部は、地獄に落ちたとされている。
「源氏供養」は、紫式部や「源氏物語」の登場人物の罪を供養するために、実際に法会が行われた日本の文化のことをさす。
また、「源氏供養」を題材にした能の作品がある。
「源氏物語」という強い物語に圧倒されたとき、紫式部が現れ刀剣男士を救う。
そして「雲隠れ」の原書を渡し、男を救って欲しいと刀剣男士にに頼んだ。
刀剣男士と男は「雲隠れ」に進む。
偽りの物語を打ち破った歌仙兼定と大倶利伽羅を見て、一文字一家は「もとからある逸話には勝てない」と察し彼らも偽りの物語を脱ぎ捨てる。
「雲隠れ」にて光源氏(男)は女たちの反乱に遭うが、やはり女たちは光源氏を愛しておりとどめを刺すことができない。
歌仙兼定がとどめを刺すが、男の亡骸は遡行軍によって持ち去られてしまう。
「源氏物語」が終わろうとしている。
人々に悔やまれながら終わることで男の気持ちに寄り添うことができるのではないか、と考える刀剣男士たち。
遡行軍によって亡骸は土に埋められただろう。
しかし、土の中に埋まっているのは「源氏物語」だけではなく、物語は物語でしかない。
もし現実世界に物語が浸食されたら僕たちの負けだ、と歌仙兼定は言う。
数多ある本丸、そのとある本丸には本来の逸話以外にも強い物語を持った山姥切国広がいるという。
彼であればこの終わりなき戦いを打開してくれるかもしれない…
(*これまでの刀ステ作品を参照しないと分かりにくい部分です)
男の亡骸を持ち去られた以上、この任務は成功とは言えない。
処罰を恐れる南泉一文字だったが、それもまた一興と笑う一文字則宗。
僕たちの戦いがたとえ物語であろうとも、心を寄せてくれる人がいる限りその心に報いたいと考える歌仙兼定だった。
その物語が地獄であろうとも、「その美しい地獄を分かち合おうじゃないか」
刀ステ禺伝 感想
「源氏物語」を実際にあった出来事として歴史に残すことが、紫式部を「嘘の罪」から救い出すことができると考えた、一読者の暴走的なお話でした。
それと同時に刀ステ本丸では一文字一家が暗躍しているかもしれない?
ここは男性キャストでも見てみたいところです。
数多ある本丸の中のひとつで起きた出来事というていで話が進んだのが新鮮。
刀ステ本丸からすればスピンオフみたいな感じ?
にしては三日月宗近を人工的に作る話も出てたし、時の政府がすべての本丸に観測係をつけているってことなのかな。
このへんは次の作品「山姥切国広 単独行」(2023年10~11月上演)で分かることがあると思われます。
なのでとりあえず置いておいて。
元宝塚の方たちの出演ということで、何の心配もせずに見ることができました!
等身が高いしめちゃかっこいい。女性に見えなかったわ(褒めてます)
しなやかで華麗な動きが素敵。
無理に声を作っているわけでもないのに女性っぽくない。
発声が自然にできているというか、スキルを感じる(宝塚に疎い人間で申し訳ありません)
演技の巧みさや動きの美しさは素晴らしいと思います。
そんなこともあり、すっと刀ステの世界に入れたのがすごくよかった。
殺陣はやはりゆっくり目だったり手数が少なかったりでした。
でも分量としてはそんなに少なくはないです。なので普通にすごいなと思いながら見ていました。
式神や遡行軍も全部女性なのがまたすごいと思いました。
個人的には山鳥毛(お頭)と一文字則宗(御前)が好きすぎる。
何といってもかっこいいし、動きもいいし、一文字一家トップ2の会話が好きです。
ビジュアルもかなり気に入りました。衣装もとても素敵。
歌仙兼定役の七海ひろきさんは前作でガラシャを演じられていたので、ガラシャが映るシーンは何とも言えないエモさがあった。
2人の歌仙が並んだところが見たい。
若紫がかわいい。
これは光源氏がさらうわと納得。
そうそう、光源氏の方の演技が素敵でした。とても印象に残った。
源氏物語は昔読んだことがあったのですが、大方忘れていて大丈夫かな?と思いましたが、全然大丈夫でした。
その時その時のエピソードや人物については丁寧に説明されてますし、思い出しつつ見てました。
有名なエピソードがメインなので知ってる方も多いかと思います。帚木、空蝉、末摘花、葵、若紫、薄雲、雲隠れあたりだったかな?
光源氏の「役」が変わっていくのも面白く、くすっと笑えるシーンもありました。
大倶利伽羅の光源氏がとても大倶利伽羅で面白かった。必見です!
ほかには小少将の君もキャラ立てが面白かった。みんな割とシリアスなので緊張がほぐれるシーンは必要ですね。
一文字一家が揃うとマフィアっぽくてかっこいいし、見ているだけでも楽しい。
衣装が白スーツを基調としていて、それぞれ個性があるのがまたいいですよね。
最初、全女性キャストで刀ステとは?と思っていましたが、これはこれでありです!
女性キャストに源氏物語、めちゃくちゃ似合っててよきでした。
平安時代の雅なところとか華やかな表現が、目にも楽しかったです。
興味がある方はぜひ本編をおすすめします。
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